【勉強法】「ラーニングピラミッド」で学習効率を上げる!

SUMMARY

  • アメリカの国立訓練研究所によると、「他人に教えること」が最も学習定着率が高い。
  • あくまで理論モデルであるが、経験則的に多くの教育者が引用・支持している。
  • 友達やSNSを上手く活用することで、学習定着率の高い勉強を実現しよう。

こんにちは、そのはです。

今回は「勉強しているのに、その内容がなかなか定着しない」という中高生向けの勉強法をご紹介します。

私が教員免許を取得する過程で、アクティブラーニングについて学ぶ機会がありました。
その際に出会ったラーニングピラミッドという考え方に基づいた勉強法になります。

ラーニングピラミッドとは?

アメリカのメイン州にあるNational Training Laboratories Institute(国立訓練研究所)によると、受動的な学習よりも能動的な学習の方が定着率が高いとされています。
これを学習の形態と学習定着率とで分類し、ピラミッド状に図示したものをラーニングピラミッドと呼びます。

どんな形態の学習がどのような学習定着率を持つのか、詳しく見ていきましょう。

聞く(5%)

講義を聞く形式の学習は、最も学習定着率が低いとされています。
ラーニングピラミッドにおいては、定着率はわずか5%となっています。

一方的な講義はいくら集中して聞いていたとしても、時間が経つと忘れてしまいがちです。
文字を読んだりノートを取ったりすることで定着率を高めることが必要です。

読む(10%)

読書による学習は、2番目に学習定着率が低いとされています。
ラーニングピラミッドにおいては、定着率はわずか10%と言われています。

特に、他者から指定された受動的な読書は、ただ文字の羅列を眺めることになってしまいます。
学校の自習時間に読む教科書の内容がまったく頭に入らないという経験のある方も多いのではないでしょうか。

写真や映像を見る(20%)

写真や映像などを見る形式の学習は、学習定着率がやや向上するとされています。
ラーニングピラミッドにおいては、定着率は20%となっています。

文章を読むだけよりもビジュアルで理解する方が学習定着率が上がるというのは、感覚的にも合っているように思われます。
最近では教育系YouTuberによる映像学習コンテンツが増えていますが、それを視聴するだけでは定着に限界があるということですね。

実演を見る(30%)

演示実験を直接見るような形式の学習は、学習定着率が向上するとされています。
ラーニングピラミッドにおいては、定着率は30%と言われています。

ライブ感のある学習により現実味が増し、記憶に残りやすくなります。
五感のうち複数を組み合わせることで学習内容が定着しやすいことは数多くの教育者が謳っているので、映像よりも実演の方が定着しやすいというのにも納得がいくかと思います。

グループディスカッション(50%)

グループディスカッションを通じた学習は定着率は50%と、学習定着率がさらに向上します。

他人と意見を交換し議論・討論を行うことで自分の理解の範囲を確認することができるので、リアルタイムで復習を行っているかのような効果を得られます。

注意すべきは「能動的に参加すること」です。
受動的なディスカッション(席に座って他の人の意見を聞き流すだけ)では、冒頭の「聞く」と大差ないので学習定着率は大きく低下します。

ハンズオン(75%)

ハンズオンによる学習は、75%もの定着率を誇るとされています。

ハンズオンとは、直訳すると「実践する」です。
単に習うのではなく、習ったことを使ったり練習したりすること、あるいは机上で学んだことを実験したりフィールドワークを通じて一人称視点で学習することで、格段に記憶に残りやすくなります。

他の人に教える(90%)

他の人に教えることによる学習定着率は最も高く、90%程度と言われています。

他の人に教えるためには、深く、広く、そして体系立った知識が必要になります。
教えていく過程の中で、「ここの理解が浅いかもしれない」「よくよく考えるとここってどういう意味だっけ」「これを分かりやすく説明するためには…」と、自分の弱点を克服しつつ理解を整理できます
これにより、結果的に自分の中に整頓された知識として深く根付きます。

本モデルの妥当性

以上がラーニングピラミッドの概観になります。

実はこのラーニングピラミッドには大きな落とし穴があります。
それは、研究のエビデンスが失われているという点です。

そもそもこのラーニングピラミッドは実践的なモデルとして提唱されたわけではなく、あくまで理論モデルとして掲げられたものです。
そのうえで、この理論モデルの妥当性を裏付けるような研究論文は現存せず、学習定着率の値に関する実験的な証拠は存在しないと言われています。

ただし、教育論を語るうえで「経験則的に」このモデルは正しいとして引用されることは多いようです。

ちなみに筆者も教員免許を取得する過程でこのモデルに出会ったわけですが、実際に教育実習においてラーニングピラミッドで学習定着率が高いとされる形態をできるだけ盛り込んでみたところ、生徒の反応は良かったように感じます。

学習定着率の高い勉強法

提供:Freepik

さて、ここでは上記のモデルを正しいとして、実際に日々の勉強に活かすためにはどうすればよいか?ということを考えていきます。

ラーニングピラミッドによると「他の人に教える」という形態が最も学習定着率が高いとされるので、いかに他の人に勉強を教えるという機会を作ることができるかが重要になります

具体的には、以下の方法でその機会を作り出します。

  • 友達同士で勉強会を開く
  • SNSで勉強垢を作成して勉強を教えあうコミュニティに参加する
  • 学習支援ボランティアに参加する

これらについて少し掘り下げていきます。

友達同士で勉強会を開く

クラスメイトや部活のメンバーでもよいですが、友達同士で勉強会を開催しましょう。

このとき注意すべきは、自分とできるだけ同じレベルの人と勉強会を開くということです。
自分より遥かに勉強ができる人と組んだところで一方的に教わるだけになってしまいますし、自分よりも明らかに勉強ができない人に対して勉強を教えたところで自分のスキルアップに繋がらない可能性が大きいです。

また、仲が良すぎてお喋りに花が咲いてしまったり、あるいは勉強会と言いながら単に個人個人で黙々と課題を進めるだけというのは論外です。
そんな勉強会を開くくらいならば、一人で勉強した方が集中できる分効率的です。

  • できるだけメンバーが同じレベル
  • 勉強に対して集中できる
  • 相互に教えあえる

という環境の勉強会になってはじめて学習定着率の高い勉強が実現します。
この条件をクリアできそうであれば、どんどん実践してみてください!

勉強垢を作成して勉強を教えあう

丁度よいメンバーで勉強会を開催できない場合は、TwitterなどのSNSを利用するのが手っ取り早いです。
勉強用アカウント(通称:勉強垢)を作成して、同じレベルの人を見つけて相互に勉強を教えあいましょう。

注意すべきは、一言で勉強垢といっても色々な使い方をしている人がいるということです。

  • 勉強が苦手なので勉強を教えてほしいという勉強垢
  • 自分の勉強ペースを保つために、淡々と勉強スケジュールを報告する勉強垢
  • モチベーションを保つために、趣味垢と兼用している勉強垢
  • 意識が高く、互いに煽りあって切磋琢磨している勉強垢
  • 勉強垢を偽った教材販売業者アカウント(論外)

など、実態は様々です。

この中から、自分と同じレベルかつ同じ志向をもつ人を探すのはなかなか骨が折れますが、上手くいけば自分の学習効率を格段に上げられる可能性があります。
志望校や偏差値などで絞り込んで検索すると、上手くいくかもしれませんね。

筆者の実体験で言うと、私は大学生になってから中高生や大学生にTwitterを通じて勉強を指導するようになりましたが、確かに大学受験数学や大学数学については現役時代よりも理解が深まった分野があります。

学習支援ボランティアに参加する

地域の学習支援ボランティアに参加するという手もあります。

「ボランティア 勉強 教える 高校生」などのキーワードで検索すると、高校生でも参加できるボランティアがいくつもあることが分かります。
理想的なのは、高校生が高校生を指導できるというような自分と同レベルの指導が可能なボランティア活動ですが、ほとんどは自分よりも下の学年に指導する形式(大学生→高校生、高校生→小中学生など)のようです。

未知のリアルコミュニティに入っていくのはかなりハードルが高く感じると思います。
が、上手くいくと自分の学習効率を挙げつつ、進学や就活における自己PRの足しにすることもできるので、一石二鳥と言えます。

まとめ

さて、今回はラーニングピラミッドのご紹介と、それに基づいた勉強法について書いていきました。

ポイントをまとめると以下の通りです。

  • アメリカの国立訓練研究所によると、「他人に教えること」が最も学習定着率が高い。
  • あくまで理論モデルであるが、経験則的に多くの教育者が引用・支持している。
  • 友達やSNSを上手く活用することで、学習定着率の高い勉強を実現しよう。

少しでも参考になれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。
それでは。